どうやら私は寝言がうるさいらしい。寝ているので本人はわからないのだが、うわごとを言ったり、縦横無尽に寝返りを打ったり忙しく動き回り、横にいる相方は眠れないのだという。迷惑をかけて申し訳ないのではあるものの、寝ているのだからどうしてよいのかわからない。
これがテント泊となると直立不動、棺に納められたミイラのように眠るから不思議だ。
今回は、「安眠」がテーマ。よく寝る私のこだわりについて書きたい。
安眠に欠かせないのは寝袋よりマットである。
このことを知ったのは自転車旅行を始めたころで、最初は実家にあった銀ロールマットを使った。これを3月に使ったらペラペラで薄っぺらく、泣きたくなり、帰ってからモンベルのアルパインマットというやつを買った。
このモンベル・アルパインマットはバルブを開けると自動膨張し、最後に息を吹き込むのみ。雪の上でも寝られる(とお店のお兄さんが言っていた)という謳い文句だったが、実際に雪上キャンプをすると寒くて寝られなかった。
寝しなはいいものの、必ず途中でへたりが来て、膨らます必要があるのだ。「冷たい!」と思って飛び起きては膨らます。なかなか安眠できなかった。
次に買ったのもモンベル。製品名は忘れたけどチューブを連結したような製品で、厚みがあるので暖かいかなと思ったらこれも寝ている間によく凹んだ。
私の買った個体が悪かったのか、バルブに欠陥があったのかわからない。
②サーマレストのクローズドはやはり定番
空気の抜けないマットがテーマとなった。
エアマットの利便性は小さく、バックパックに外付けしないでいいところ。それに対してクローズドマットの長所は凹まず、壊れないことだ。
竹内洋岳さんが愛用しているということでミーハーな私はそれまでの外付けしないというポリシーを捨てて、サーマレストのZライトというモデルに手を出した。
「それR値低くない?」
山の友達と仙丈ヶ岳に向かう際に言われた。R値とはマットの暖かさを示す指標で、暖かいほど数値が高い。要するに「そのマット寒くない?」ということだ。
4年ほど使った結論だが、寒くない。それより寝ている最中に空気の抜けるエアマットの方が困る。
一方でR値のより高いサーマレストのリッジラインを最近は多用している。もっともR値うんぬんより下が石のところではクッション性のよいリッジラインの方が良い嵩張るのが難だが、安眠に替えられるものはないのだ。
③EXPEDのマットは決め手となるか
山友に会えばサーマレストのクローズドマットを推奨しながら、4年前石井スポーツ横浜店(現Mt.スポーツ石井)のアウトレットコーナーにあったEXPEDのマットを手に入れた。
なんとなく買ってみた代物ではあるが、これがいいのである。
空気の吹込み口が2つあって、1つは入れる方、もう1つは出す方になっている。過去のモンベルのマットはバルブが1つなので、吹いて十分に膨張させたら、抜けないうちに閉める必要があった。このEXPED君は吹いている間に抜けないし、出口の方の蓋さえしていれば寝ている最中も空気があまり抜けない。
サーマレストのネオエアのように2万円を超える(値段が)怪物級のマットには寝心地で負けるものの、価格(確か5000円くらいだった)を考えれば最上といっていいだろう。あと課題は耐久性がどの程度あるかである。
寝るのは好きだ。ある意味で食べるより好きかもしれない。
私が山でテント泊するのはただただ安眠を求めているだけかもしれない。