五名山を勝手に選定しようと思う。
最初に候補としたいのは開聞岳と利尻山。日本列島の最北と最南の山である。
最南端の山は4年前に行った。
この時は知覧に寄ってから歩いて開聞岳にアプローチし、麓のキャンプ場に一泊してから翌朝山頂に立った。
その時のお話はこちら。
きれいな成層火山で、山頂部分はをぐるり周回するような登山道が付いている。富士山のようなジグザグ道ではない。
頂上からは海が見え、九州の最南端を感じさせる。その先は奄美、沖縄だ。
その頂上を印象深いものにしたのは、展望だけでなく、その前に見た知覧の特攻平和館のためである。
戦時中に知覧の台地には飛行場が作られ、そこから多くの特攻機が沖縄に向かって飛び立って行った。
彼らにとって円錐型に海から飛び出した開聞岳は日本最後の地だったのだ。
対して北は利尻山。
利尻山は今年行ったので記憶が新しい。
宗谷岬の西に浮かぶ利尻島は稚内からフェリーで2時間ほどのところに浮かんでいる。浮かんでいるというのがぴったりくる丸い形をした島だ。
登るにつれて展望が開け、お隣の礼文島、遠くはサハリン、昔の樺太が見える。遠く海、その先に海外を望むというところが利尻山と開聞岳の共通点だろう。開聞岳の先が外国かというと異論もあろうけど、少なくとも「海の外」ではある。
文化年間の1807年にはロシア人が利尻島を襲撃し、商船が焼き払われ、島民が捕虜になったという(利尻富士町HPより)。そしてその翌年、幕府の命によって会津藩士252名が防衛のために派遣され、当地で命を落とした藩士の碑が今でも残っている。
そうしてみると、利尻島も内国と外国の彼岸であり、開聞岳同様に日本最後の地となっていた。
富士山のように真ん中が火口として窪んでおらず、サイの角のようにとが尖っている。その尖った本峰の脇にはさらに尖ったローソク岩があり、冬季は北海道の名だたるクライマーがこのローソク岩に登るらしい。
さて、のっけから百名山の2つを候補としてしまった。
菜の花に囲まれた開聞岳も捨てがたいけど、夏のお花畑と冬の雪を頂いた利尻山に軍配を上げよう。
とにかく行きにくいということでも希少性があるのと、なにより四季折々を楽しめそうであり、機会があればまた来たいと思わせる山である。
「また来たい!」と思えるかどうかで五名山を選んでいきたい。