谷川岳に行ってきた。いわゆる馬蹄型縦走というやつで、土合からぐるりと谷川岳や朝日岳を周回するコース。
あまり深く考えずに行ってみたら酷い目にあったのだが、それはまた次に。
今回は土合駅から出て、再び土合駅に戻ったところ、谷川岳の慰霊塔が見つかった。「見つかる」という表現は変だが、前回は上毛高原駅からバスで谷川岳ロープウェイまで直行したので見逃していた。
この山での死者は700名以上。慰霊塔の横にある石の名簿を見るとよくわかる。
多くは一ノ倉などのクライミングによるものらしいが、昭和22年、つまり終戦の翌々年あたりからすごいペースで亡くなっている。年20人はザラ。私も人づてに心霊現象の話を聞いたことがあるが、それもうなづける。
1つの山での死者数としては何十年にもわたって世界で一番の数となっている。
近年は人気が薄れたのか、クライマーが減ったのか年1人くらい。どこかの国でアルパインクライミングが大流行したら「魔の山」の座は他に譲るかもしれない。
谷川岳は登山者にとって「近くていい山」とも呼ばれる。
東京から上越線に乗って土合の「モグラ駅」に降りれば山はすぐそば。しかも土合駅は昔から無人駅だったらしく、駅舎に泊まり込むことも簡単にでき、キセルも簡単(と角幡唯介さんが書いていた)。
金のない若者が魂を注ぐにはちょうどいい山だったのだろう。
土合駅は日本一のモグラ駅とされ、鉄道マニアにはわりと有名らしい。
地下から400段以上の階段を登り、渡り廊下を通ってようやく改札に着く。
登山の前から結構な運動になる。
そして今回は薄暗い階段を上りながら、
「ここに戻れなかった若者たちがたくさんいるのか」
としみじみと感慨に耽る。
帰りも結局は土合駅から帰った。
また地下にモグルぞと意気込んでいたら、地下駅なのは新潟方面に向かう下りだけで、上り列車は思いっきり地上にあった。
知らなかった。
まあいずれにせよ乗車駅証明書を無事手にすることができて何よりと感じながら家路についた。