日本語には雨にまつわる語彙が多いという。霧雨、氷雨、長雨、梅雨なんて日本ならではだ。
しかしながら、日本人は雨が好きかというとそうでもないらしい。歌川広重の浮世絵を見ても雨が降ればみんな傘を差すか、軒に逃げる。着物の替えもないだろうし、濡れるのは今の人以上に嫌かもしれない。
昔、アメリカ・ポートランドに行ったことがある。ポートランドは全米一雨の多い街で、数日いた中で雨の降らない日はほとんどなかった。
街の人はどうしているのかというとみんなレインウェアを着ていて、雨が降ればフードを被り、止めばフードを外して歩いていた。傘を差す人などおらず、中には雨の中でもフードも被らず、濡れたままという人もいる。どうやら濡れることを厭わないらしい。
スーツなんてほとんどおらず、レインウェアの中はTシャツとかジーンズだ。カナダに行った時もスーツの人などほとんどいなかった。パーティーではあるまいし気取った格好をする必要はないのだ。
明け方雨音で目が覚めた。ずいぶんと雨が降っているらしい。
こんな日にわざわざ濡れやすいスーツを着るのもバカバカしい。しかし、Tシャツを許してくれる会社でもない。
結局、上からレインウェアを着ることにした。レインウェアはパンツが肝心。ジャケットだけ着ている人が多いが、実際は足元の方が濡れるのである。
そんなわけで、今日はシャカシャカ音を立てながら電車に乗り込んだ。