クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

由布岳の雪~大分、温泉と登山の旅③

なかなか 登山の話にいけない。

そもそも当初の目的は九重山に登り、坊ガツルでテント泊と山の温泉に入るのが目的だった。

ところがタイミングよくというか悪くとんでもない寒波が来るらしい。そこで妥協案として持ち出したのが別府温泉に浸かり、由布岳に登る計画である。

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由布登山口



初日は地獄めぐりをして、足だけ湯、蒸し湯に浸し、最後にホテルの最上階にある温泉に浸かった。

2日目はようやく旅の目的地。由布岳に登る。

由布岳は別府と湯布院の中間にある山で、豊後富士とも呼ばれる成層火山である。。標高は1600m弱ながら御鉢巡りもできる立派な火口もあるので天気が良いときは最高だと聞いた。

湯布院に向かう峠あたりにある由布岳登山口から登ることができる。観光路線バスの「ゆふりん号」なら1時間に1本、通常路線バス2本で、計3本あるので下山後も安心である。

そんなわけで由布岳登山口に颯爽と降り立ったわけだが、この冬一番と言える寒風がわれわれを襲った。

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由布岳中腹から湯布院の眺め

その日の予報は別府市内は晴れ、福岡は曇り。典型的な西高東低の気圧配置で、登山口の段階で氷点下となっていた。

「どうせ1500mくらいの山だし」

となめてかかっていたら、指がジンジンするくらい寒い。仕方ないので持っているウェアを全部着る。

パタゴニア・キャップリーンの厚手にR1プルオーバーにナノエア、アウターとしてトレントシェル。厳冬期の八ヶ岳より厚着となった。

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由布岳直登ルートを下る

由布登山口からは頂上まで2ルートがある。

湯布院側、北のルートと由布岳の真ん中を登る直登ルートとなる。われわれは最初は北ルートから登り、直登ルートから下山することにした。

北ルートは沢筋と尾根を交互に辿るらしく、歩きやすい。寒いのが難だが、動いていればまあまあ。途中からガスで何も見えなくなったが仕方ないだろう。

火口にあたると分岐があり、左に行けば西峰、右に行けば東峰。われわれは東峰を経由して直登ルートから下山することにしていた。

ところがこの直登ルートは結構急こう配で鎖場が連続している。夏ならいいが、新雪の積もった岩場は足場が見えづらいし、かなり歩きづらい。チェーンスパイクを着けていたが、こいつでは細かい足場に乗りづらいのだ。

ようやく傾斜のなだらかなところに行きつき、カップラーメンを食べた。

そして今度は行きとは違う東登山口に下りることにする。しかし、こちらは誰も人が入っていないのかルートが雪の覆われ、迷いながらの下山となってしまった。

由布岳。いい山だったが、なめていると痛い目に遭う。とにかく冷え切った身体を温めるためにわれわれは別府の温泉に向かって道を急いだ。

別府と海鮮と海地獄と~大分、温泉と登山の旅②

今回はのんびり観光がメインのつもりなので、ぼちぼち、のんびり書いていきたい。

私の別府に対する印象は、幼稚な話になるが、「ゴジラ vs スペースゴジラ」くらい。作中に別府が出てきた。どうも城があった気がしたので調べてみたら、同映画では鹿児島から上陸して熊本を経由して別府を通り、福岡へ、九州を台風のように縦断したらしい。城はおそらく熊本城だろう。別府タワーという通天閣の兄弟分のようなタワーが登場したようだが、まったく覚えていない。

したがって、別府については何の知識もない。せいぜい温泉地ということくらいなので、温泉巡りに行くこととした。f:id:yachanman:20211228200913j:plain

別府市街は別府駅から南側に繫華街が広がり、海沿いを国道が走っている。繫華街の中にも古い温泉が点在しており、中でも竹瓦温泉は砂湯もできる温泉で、道後温泉のような風情のある建物になっている。これは翌日、登山後に行くことになる。

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竹瓦温泉の外観

とにもかくにも別府は温泉。調べてみると別府市街と地獄めぐりで有名な温泉地・鉄輪は少々離れている。別府市街と鉄輪を結び、地獄めぐりを別府の観光として成立させたのが銅像のあった油屋熊八である。

われわれも熊八創業の亀の井バスに乗り込み、鉄輪を目指した。

鉄輪近辺にはかまど地獄、鬼山地獄、山地獄などがあり、真打ちは海地獄となっている。そんなに地獄を見たいわけではないので、海地獄一本に絞って見物することとした。

ちなみに山地獄は海地獄の向こうを張ったのかと思いきや、猿やカピパラなどが温泉に浸かって「極楽極楽」と言っているというところらしい。周遊チケット2000円なども売られているが、自分の行きたいところに狙いを定めた方がいいと思う。

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海地獄の青い温泉池

海地獄は鉄輪の一番奥まったところにある。入場料400円也を払って入ると庭園や足湯なんもあって結構広い。足湯には文旦が入っていて柑橘の香り漂っている。

温泉に入るつもりはなかったので手ぬぐいを忘れたが、寒いので足湯に浸かると非常に気持ちがいい。

少し温まって、奥に進むと土産物屋を通り抜けて、ようやく海地獄が見えた。

海地獄は海から連想されるように青い温泉であたりに湯気が立ち込めなかなか幻想的な雰囲気だ。人が多いのと周囲が整備され過ぎていることを除けばなかなか面白い。

われわれはぐるり一周してから海地獄を出て鉄輪から再び別府市街に戻ることにした。

湯の極楽と地獄めぐり〜大分、温泉と登山の旅①

大分へ行って来た。人生初の大分である。

羽田空港8時発、10時に大分空港へ。

大分空港は大分市別府市の北、国東市にある。空港は鉄道駅と違って少ない。大分県内だから大分空港と命名されているが、地図を見ると国東半島の付け根くらいに所在しており、アクセスに難ありという典型的な空港だ。鉄道はなく、車かバスでしか行けない。

大分空港の悪口はこのくらいにして、われわれは、空港から別府までのバスに乗り込み、別府北浜というバス停で下りた。

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別府北浜から別府駅は徒歩5分ほど。

別府駅の前にはなぜか巨大なサンタクロースがいた。銅像にサンタクロースの衣装を着せたもので、どう見ても誰かの悪ノリにしか見えない。それにしても堂々としたイタズラに見える。

銅像の裏を見ると、モデルは油屋熊八という人物で別府観光の祖とされる地元の偉大な人物らしい。別府のバス会社である亀の井バスを創業し、別府市街から地獄めぐりバスを運行させ、温泉地別府の広めたとある。

ただのイタズラに見えたサンタクロースも熊八が子どもたちを楽しませるために仮装したという。果たしてコカ・コーラカラーの赤白衣装だったかどうかはわからないが、史実に基づくデコレーションだったのだ。

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さて、別府に着いたわれわれは昼食に海鮮丼を食べ、鉄輪と呼ばれる温泉地へ行くことにした。

熊八の始めた地獄めぐりである。普段、いわゆる観光地には全くと言っていいほど出向いてなかった。いつでも行けるところより、今しか行けないところに行く。これを旅の哲学にしていたのだが、そうは言ってもしょっちゅう行けるところではないのでせいぜい堪能することにしたい。

お金があったら何をする?

「このコスパ男!」と時々相方から言われる。

先日、プレミアム付商品券を入手したのだが、生活用品を安く購入するために腐心していて、買うのは食料品や日用品ばかり。商品券があるからと言って大盤振る舞いする気は起きないので、相方としたらツマランわけなのだ。

「年収1000万円あったらお金をかけたいこと」というランキングを見たら、1位が家を買う・リフォーム・ローン返済で、2位が旅行/レジャーなんだそうだ。

年収1000万円というのはおそらく現実感を持って使える金額なんだろう。ただ、1位が不動産というところが日本人だなという感じがする。結局、年収が1000万円あってもなくても使うところに金を回しているだけで、贅沢をしようという意識を感じない。

2位の旅行/レジャーはその意味では贅沢派のやることだが、どこに行くのかも訊いてみたい。

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昔の旅行は徒歩だったりする(写真は熊野古道小辺路

ずいぶん昔に堀江貴文さんがテレビで「お金で命は買える」と言って物議を醸したことがある。過激な発言に見えて言っていることはいたって普通で、「生命保険は命に値段を付けている」と言うのだ。

生命保険の仕組みは単純で、何歳での死亡率が何パーセントかという統計データを基に保険料が決まる。命に値段を付けると言うよりこの生命曲線に応じて金を払うと言った方が正確かもしれない。どちらにしても命を使って統計的死亡率と勝負するようなもので、早死にすると得、長生きすると損という不思議なシステムである。

生命保険は2つのことを教えてくれる。

一つは命の原資は時間だということ。二つ目は多くの人が死んだ後もお金に縛られているということだ。

 

最近、前澤友作さんが宇宙に行った。そういえば堀江貴文さんはロケットを作っていた。この2人は何かと批判されることが多い。それは一般的な日本人の人生とお金に関する価値観と違うからだろう。

多くの人はお金は有限という前提で生きている。一方で人生は有限と知りつつもそっちの方は考えないようにしている。

前澤さんにしても堀江さんにしても、人生は有限という方に重きを置いている。お金は無限ではないものの、彼らの才覚なら一般人には無限と言えるくらいは稼ぎ出せる。そこが一般人には理解しにくいところで、鼻に突くところでもあるのだろう。

お金を生み出す力はわれわれと桁違いながら、元は同じ人間。好きなことにお金も時間も費やす生き方をもうちょっと見習った方が良いのかもしれない。

偉い人がやって来たら

某月某日さる都道府県知事がオフィスにやって来た。

知事だから普段見ない「偉い人」ということになる。それではどのくらい偉いのか。

例えば東証一部上場企業は2000社を超えるわけで、当然偉い社長が2000人超いる。取締役はその3倍はいるだろうし、子会社の社長やら監査役やら加えると1万人にはなるだろう。

教授、教師、医師、弁護士、司法書士弁理士建築士も「先生」と呼ばれるのだから偉いに違いない。ただ、これらも全部で何万人単位になってしまう。

知事は47人しかいないとなると希少という意味で偉いのだろう。

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Facebookを覗いたら、東南アジアのさる国で日本を紹介するというビジネスを行っている人がいて、その人が「大統領が当店にお越しになりました!」

とあった。すごいことなんだろう。ただ、その店がすごいのか大統領の腰が軽いのかわからなかった。

滅多に見れないという意味ではAKBのような「会いに行けるアイドル」より昔のアイドルの方が希少価値がある。しかし、容姿の良い子なんて一定割合でしかいないのだから希少性なんてそんなに変わらない気もする。

されば、数学者で作家の藤原正彦さんとか、税務官でクライマーのミック・ファウラーとか、2つ、3つのジャンルを極めているというのも偉い要素かもしれない。

元スポーツ選手でタレントなんていうのは珍しくないので、できるだけかけ離れたジャンルの方がいい。知事となると元官僚、弁護士、俳優、作家なんかは前例が多いし、俳優や作家は知名度を売りにして当選しているのだから、面白味に欠ける(もはや偉いという話でないが)。

 

オフィスにやって来た知事さんはお付きの方だかとともにフロアを巡られ、にこやかに挨拶されて帰られた。自治体の長も人気商売なのである。

世の中「偉い」人だらけで困ってしまう。

結局のところ自分は偉いと思わせない人が一番偉く見えるのは、そういう人の方が人に支持されやすいからだろう。

山の名を冠した日本酒の味

忘年会シーズンである。

まあ去年から忘年会がなくてホッとしているのは私だけではないだろう。「〇〇部長にお酌をせねば!」とビール瓶を持ってソソっとすり寄ったり、「△△専務の飲み物が残り少ない!」と注文に走ったり。

日本の宴会というのは「年忘れの息抜き」というより、「酔っぱらっても仕事ができるのかの鍛錬を見せる場」というのが正確だろう。

酒は気の置けない仲の間柄でしっとりと飲むに限る。大酔せず、美味いと思う酒をちびりちびりとやる方が最近はいい気がしている。

 

さて、ちびりちびりとやるには何がいいか。

大酒をしないなら日本酒がいい。特に登山をやるなら山名を冠した酒がいいということで、ちょっと書いてみたい。

①八海山

かつて新潟出身で日本酒好きの女性の先輩が会社にいた。飲みに行くと必ず新潟の酒を選んでいてずいぶんと郷土愛が強いなあと感じた。その時、一番飲んでいたのが八海山である。

私も付き合って飲んでいた。「酒は米どころ」という彼女の主張に押されて、以降はこの八海山が味の基準になっている。したがって、私の中では甘くも辛くもないスッキリとした味としか言いようがない。

ちなみにまだ八海山には登っていないので登って下りてからちびりちびりとやってみたい。

 

生駒山

なんでこんなマニアックなものをと言われそうだがお許しいただきたい。私が幼少期から最もたくさん登った山である。

知らない人のために説明すると、生駒山大阪府奈良県の県境にまたがる600mくらいの山で、天気の良い日は大阪の夜景もきれいなスポットである。頂上には生駒山上遊園地があり、テレビ塔や携帯電話のアンテナが林立していて、風情は全くないが、大阪と奈良の人間からは駅からハイキングができる山として親しまれている。

風情はないものの、「生駒」という名称は聖徳太子に由来する。聖徳太子奈良県側の生駒を通った時、ここで乗馬が死んでしまい往生した。そこで太子が仏に祈りを捧げるとたちまち馬が生き返り、旅を続けることができたという逸話による。

前置きが長くなったけど、実家から「生駒山」という日本酒が送られてきたので飲んでみた。

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生駒山

感想は少し甘め。ただスッキリ感は足りないかな。ちょっと舌に残る味が今一つ。

率直な感想としては、不味くはないけど八海山の向こうを張るインパクトには欠ける。まあ生駒山が庶民の山ということを表現しているな気もする。

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生駒山上遊園地の飛行塔

③七賢 甲斐駒

最後はまだ飲んだことのない日本酒。

先日、大月から三島への自転車旅の途中で酒屋に寄った。地元の銘酒はないかと探したら、普段からよく飲む七賢が並んでいる。近所のスーパーで720mlを1000円未満で買える酒なのだが、スッキリ辛口にほのかな甘みで気に入っている。

酒屋のケースにはまだ飲んだことのない3種類の七賢があった。どれにしようか迷う中で、最高額を付けている「甲斐駒」が気になる。他が1000円くらいなのに対してこれだけ2000円超。甲斐駒は夏、秋、冬で計6回登った思い出の山。

うーんと唸って結局は1300円の七賢に。

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結局はこちらの七賢に

家に帰ってからもう一つ七賢 生酒を近所で見つけて購入したが、「甲斐駒」はなかった。ないがゆえに余計に気になる。

どんな味かわからないが、今のところ私にとって幻の酒となっている。

行ったことない県、行ったはずの県

暇つぶしに、日本全国を白地図でプリントアウトして、行ったことのある都道府県を塗りつぶすということをやったことがある。これが複数人でやると結構面白い。

私が行ったことがないのは、島根県大分県沖縄県

行ったかどうか怪しいのは秋田県新潟県秋田県は高松岳という栗駒山近辺の山に登ったので、岩手県から県境を越えて秋田県に入ったはず。新潟県谷川岳の稜線が群馬県新潟県の県境にあたるので足を入れているはず。

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群馬県新潟県の県境にあたる谷川岳

さて、島根県にはなぜ行かなかったかと言えば、登山のターゲットがないから。大山には登ったので鳥取県には行っている。

島根県の最高峰は...と見ていると恐羅漢山とある。確か広島に住んでいた時に恐羅漢山には行った記憶がある。

そうなると行ったことがないと断言できるのは沖縄県大分県。この2県は間違いなく行っていない。

今週末は大分県に行くことしている。あと足を踏み入れていないのは沖縄県のみ。来年あたりサイクリングに行けたらとか考えている。

 

まあ、行ってと言っても空港とゴルフ場とホテルにしか行っていない宮崎県や支店や営業所にしか寄っていない佐賀県なんかはほとんど行っていないに等しい。

新潟も結局は県境を踏んだ程度。行くとしたら八海山とか佐渡島春日山城跡とかが思い付く。

コロナ禍ということでなかなか海外には行けないが、こういう時こそせっせと国内のいいところを見つけに行きたい。