クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

人生でやっとくべきリスト

1年が早い。そんなことを毎年呟いているような気がする。

去年は

屋久島縦走

②北海道旅行/大雪山・知床縦走

③大分・由布岳登山

がビッグイベントだった。海外に行けない分、国内を巡ったのだ。

かつて高速バスで隣になった年配の女性に言われたことがある。

「行けるときに行きたいところに行かないと。海外も遠いと疲れるし」

確かにその通りで、飛行機に十時間も乗ると疲れるし、着いても時差ボケで2日くらいぼーっとし、帰国しても2日くらいぼーっとすると大変だ。いくら仕事が忙しくても体力のあるうちにやっておくことがたくさんある。

ふと人生でやっておくべきことが何かを考えることがあったので書いてみたい。

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①釣り

昨年の秋に福島で焚火キャンプをした。その時連れて行ってくれた友人夫婦の夫君は今渓流釣りの本を見ているという。沢登りをしていると確かに釣りができたらと思うことが多い。

 

②カヌー

できれば夏のユーコン川とか行ってみたい。8月の終盤ともなると蚊も少なくなるようだ。

人跡未踏とまでいかなくとも、人の匂いのないところで今の時間に身を委ねる。

週末、ラジオで「人以外の動物は自殺するか?」という質問に対して、動物学者が「人以外の動物には未来という概念がない」と語っていた。人は未来を考えるから希望を持ったり絶望したりするものらしい。

学校では未来考えることを教育するが、荒野では今をどう生きるかが問題となる。ただ今日を生きるということに終始する世界。

そんなところに行ってみたい。

 

③エベレスト街道

登山をする者の憧れはやはりヒマラヤとヨーロッパ・アルプス。多くの先人たちが憧れ、人生を賭け、時に命を落としてきた。

登りたいかと言えば登りたいけど、命を賭けるところまではいいかなというのが今の私だ。

しかし、一度はその頂を見てみたい。友人で20代の終わりに仕事をエイヤと辞めてエベレスト街道に行った人がいる。その後、そこで出会った人にニュージーランドが面白いと聞いては帰国してニュージーランドに飛び、ニュージーランドから再びエベレスト街道に行ったという。

2度も行くとは惹きつけるものがあるのだろう。

トレッキングだけでも5000mくらいまで上がるのだから高度順化が必要だという。とにかく元気なうちに行っておきたい。

 

時折考えることだが、人間の原資は時間しかない。人生とは何かといえば有限な時間そのものなのだ。

将来のための貯蓄もいいけど、やりたいことからやらないと原資そのものを失ってしまう。そのジレンマこそが人生最大のテーマなのかもしれない。

行った温泉、行ってみたかった温泉

「日本の温泉百選」なるものがあるそうだ。

1位は草津、2位は下呂、3位は別府八湯と続く。

特に温泉好きというわけでもないけれど、山に行くと温泉に寄る機会も増えるので比較的あちこち行っている方だ。ただ、あくまで温泉は旅の中でサブの要素なのでついでに寄れたり、近くまで行ったのに入らず帰ったりしている。

今回はこれまで行った温泉と行ってみたかった温泉について書きたい。

 

行った温泉① 草津

まずは行ったことのある温泉として。

大学生の時に友人の祖父が持つ別荘に行った。軽井沢にあるログハウスで「The 別荘」に男4人。ラグジュアリーな空間に色気もない野郎が集まってやったことはバーベキューとカレー作りに嬬恋観光。そして帰りに寄ったのが草津だった。

草津で有名なのは中心地にある巨大な温泉池。その周囲に温泉宿が並ぶ中に地元住民が利用する外湯があった(気がする)。洗い場もろくにない。

しかし、これが逆にいい。50年前も100年前もこうやって人々が湯に浸かっていたいたんだろうなあと感じる。去年行った羅臼の熊の湯も地元の人の集会所となっていた。気取らないこういう温泉も好きだ。

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2回訪れた草津

行った温泉② 別府・竹瓦温泉

昨年、雪の由布岳から下山してから行った。温泉というより湯屋という感じがする。

ここもは素っ気ない感じで、暖簾をくぐれば1階に脱衣場、地下に浴槽がある。特に洗い場という蛇口もなく、「身体を洗ってから入ること」とあるのに石鹸の泡も立っていない。

風呂と温泉は別。これぞ古典的温泉という感じでなかなかよかった。

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先月行った別府の竹瓦温泉

行ってみたかった温泉① 黒薙温泉

黒部の窓口、宇奈月温泉からトロッコ列車に乗ると、瞬く間に秘境の中に飛び込むことができる。

昔は「命の保証いたしかねます」と切符にあったとか。本当だろうか?

そのトロッコ列車を黒薙駅で下りてすぐにあるのが黒薙温泉。ただ、トロッコ列車で終点の欅平まで行き、下の廊下を遡行というのはしたことがあるものの、途中下車はどうもしにくい。

しかし、黒薙の文字を見るとどんなところか行ってみたくはある。

黒部峡谷鉄道トロッコ列車には4回乗っている。ただ、一度も黒薙で降りていない。すごく近くて遠い秘境温泉となっている。

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黒部峡谷鉄道トロッコ列車

 行ってみたかった温泉②  カムイワッカの滝

去年の夏は知床に行った。大学生以来で、念願の縦走もでき、充実した登山となった。

その中のわずかな心残り。それは秘湯・カムイワッカ湯の滝に入れなかったこと。まあそもそも立入が一の滝までで、あとは立入禁止。温泉として快適なのは上部だという。火山性ガスの危険があるのだからやむを得ない。

しかし、秘境に入りて誰もいない温泉に入るというのは登山やらアウトドア好きにとっては夢だろう。

ついでに側でテント泊の宴会ができれば最高。湯に浸かれば、どんな人だって「世の中捨てたもんじゃない!」と思うに違いない。

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カムイワッカ一の滝

そんなこんなで、温泉に浸かると日本はええなあと殊勝にも考える。

単純と言えば単純。呑気と言えば呑気。

まあ難しく、シビアに考えるだけが人生ではないと思わせてくれるのが温泉最大の効能と言えるかもしれない。

冬の滝子山に行ってみた

週末天気がいいので中央線に飛び乗り滝子山に行ってきた。

滝子山中央本線笹子駅初狩駅の中間に位置する山で標高は1600mほど。これまで私も相方も2回ずつ登っている。駅から徒歩でアプローチできるところがいいところだ。

 

今回、笹子駅からアクセスすることにする。

笹子駅からは線路と並走する道路を少し東へ進み、神社のある少し集落を突っ切り、林道の奥へと歩く。

先日、東京では久しぶりの雪だったので、雪景色の山を期待したのにほとんど雪はない。チェーンスパイクに12本爪クランポンまで持ってきたのに完全な過剰装備となった。

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川は所々凍っていた

登山道に入り、川沿いに登る。

冬のこの時期はずいぶん人が少ない。秋の紅葉の時期と大違いだ。冬は落ち葉でトレースが隠れ、おまけに人が少ないのでルートがわかりにくい。木に巻いているテープを目印に登っていると、いつの間にか登山道を逸れていたらしく、斜面をエイヤと抜けると歩きやすそうな道が現れて驚いたりした。

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残念ながら富士山が見えなかった

頂上には2、3人の人がいた。

みんな単独行で、語るでもなく黙々と昼食を取り、写真を撮っている。われわれも山専ボトルに入れた湯でカップラーメンを作り、ミルクティーを飲んだ。

風はなく穏やかで世界に何の不満もない。雪景色が綺麗で富士山がよく見えたらという欲もあるものの、今日はこれくらいでいいだろう。

旅の特急列車を比較してみる

先日、関西へ帰省した時に近鉄特急ひのとりに乗った。

電車オタクではないので、高速バスでもよかったのだが、母の友人が「ひのとり、ええよ。ひのとり、ええよ」とひのとり信者になっているようでぜひとも乗って帰れという。

そこまで言うのならということでネットで予約してみた。

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近鉄特急ひのとり

考えてみたら特急列車にはかなり乗っている。

旅行か出張か。目的はそれぞれなれど、どんな車両が入線してくるかは楽しみではある。

そんな旅の特急についていくつか書いてみたい。

 

①特急あずさ

謡曲「あずさ2号」で有名な特急。関東圏に住んでいて登山をやる人は必ず使う。と言うのも中央本線はあまりに長い上に本数も1時間に1本くらいしかないからだ。

乗り心地はわりと好きである。特にスーパーあずさはシートの間隔がわりと広い。松本駅で駅弁を買って乗り込むのは下山後の楽しみだった。

惜しむらくは最近、全席指定になったこと。松本駅からなら自由席で必ず座れたのが、繁忙期には指定を買う必要が出た。しかもかなり割安だった回数券も廃止。回数券は指定席にも使えたし、松本-新宿間で買っておけば茅野からでも当日買うより安かったんだけどなあ。

それはともかく山帰りの充実感と倦怠感の入り混じった思い出とともに乗り込む好きな特急である。

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登山での定番あずさ号

②北海道の特急たち

2020年、2021年と連続で北海道を旅した。

2020年は旭川から稚内に行き、そこから利尻島に渡った。2021年は大雪山を下りて上川から北見まで。旅の高揚感も相まって楽しい列車旅だった。

乗り心地はまあまあ。車両が古そうなのでシートの間隔は少々狭いし座り心地も固い。ちょっとウトウトするには今ひとつだが、旭川から稚内は牧場や鬱蒼とした森、湿地など見どころが多いし、北見方面もキタキツネかヒグマが見れるかもしれない。寝ている場合ではないのだ。

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北海道・旭川から稚内の特急宗谷

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北海道・上川から北見まで乗った特急オホーツク

近鉄特急ひのとり

さて、冒頭に出した"ひのとり"について。

近鉄特急にはビスタ―カーというオレンジの車両、名古屋と大阪難波を結ぶアーバンライナー、伊勢志摩に行く伊勢志摩ライナーなどバリエーションが豊富にある。JRと闘う関西の私鉄として特急というのは譲れないフラッグシップなのだ。

私の感想としては、なかなか快適ながら、フットレストはいらないかな。後ろの子どもがガンガン蹴とばしてうるさかったし。

それとデッキをあれだけ広げるなら座席をもっとゆったり作るか、トイレを増やしてほしい。

 

ちょっとした文句を書いたけど、旅の高揚感を生み出してくれる特急列車はたまにしか乗らない分、旅の一つの楽しみでもあるのだ。

年末に法隆寺と中宮寺へ行ってきた

年末は実家への帰省かたがた法隆寺に行ってきた。

いつもは山・旅がセットになっている中で今回は車で行ってぶらぶら。のんびり観光なのである。

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法隆寺の伽藍

法隆寺飛鳥時代聖徳太子の建立とされる。

今までなんとも思わなかったが、当時の政治の中心地は明日香村。そこからはずいぶん離れていて歩くと1日潰れる。飛鳥寺と呼ばれる法興寺が明日香の中心地にあるのと大違いだ。

なぜこの場所に巨大な寺が建立されたのか、ぼんやり考えてみるのも時には面白い。

後の興福寺東大寺のように都に近ければ権勢との結びつきが強くなるものの、たびたび焼き討ちや抗争が起きており、そういうごたごたを避けるということも考えられる。

一方で寺を防御拠点として織り込むためにこの地を選んだという推測もできる。古代や中世において瓦屋根で土塀に囲まれた寺院は放火に強い。都の出入口の防御や都を乗っ取られた時の反撃の拠点にすることも考えられる。

建てた当初、そんな深い考えがないとすると聖徳太子の別荘だったという可能性もある。金閣で有名な鹿苑寺も宇治の平等院も隠居用の別荘で市街からは少々離れている。

いずれにしてもやや辺鄙とも言える場所だったからこそ1400年の間残ったということは確かだ。

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夢殿

奈良に行くといいところは、東京国立博物館でやろうものなら行列のできる宝物が簡単に見られることだ。金堂の釈迦三尊像や玉虫厨子もあっけなく姿を現す。

法隆寺の隣には中宮寺があり、法隆寺とセットで行けば500円で拝観ができる。メインは半迦󠄀思惟像で、片足を膝の上に上げた姿の黒光りした姿をしている。境内で流される解説CDによると元は金色に彩られていたのが、年月を経て取れたり護摩などによって黒くなったようだ。

現代人のわれわれには黒い仏様の方が品があって見えてしまうが、古代の人は金色の方が良かったのだろうか。

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中宮寺の境内

まあ国宝とか重要文化財といった冠を抜きにしてぼんやり、じっくり堪能できる。やはり30歳を過ぎたら奈良がいい。

そういや忘れていた海鮮丼~大分、温泉と登山の旅⑤

旅と言えば食。

そういえば、大分、温泉と登山の旅②に「海鮮丼」と謳ったのに海鮮丼に触れるのをすっかり忘れていた。ついでなので大分での食について追記しておきたい。

1日目、別府に着いた時は昼飯時で、とりあえずGoogle先生に尋ねてみた。検索の結果、大分と言えばとり天や鶏唐揚げらしい。しかし、わざわざ大分まで来て食べるものでもない気がする。

それでは何か。調べると別府の人気店ということで海鮮丼が挙がっていたので行ってみることにした。

 

店は駅から10分程。商店街の中にある居酒屋風の店で、入るとアニメのフィギュアがずらずら並んでいる。

昼メニューの筆頭は海鮮丼とりゅうきゅう丼。私は海鮮丼、相方はりゅうきゅう丼を選んだ。

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魚盛りだくさんの海鮮丼

海鮮丼とりゅうきゅう丼の違いはご飯とネタだった。それしかないのだから当然のようだが、海鮮丼は酢飯に刺身を載せたもの、りゅうきゅう丼は白飯に醤油漬けにした刺身を載せている。

大分なのになぜ「りゅうきゅう」という理由はよくわからないらしい。大分の漁師が琉球の漁師に教わった説と胡麻和え料理の「利休和え」が派生した説があるという。この店のフィギュアとともに謎のままだ。

魚は非常に美味かった。店内にある生け簀から飛び跳ねるアジを網で取り出し、捌いたものが載っている。特にタイやアジ、カンパチなどの地物と見られる魚が美味い。値段は1350円だったが、息が魚臭くなるくらいのボリュームで大満足である。

 

結局、大分で外食したのはこの一食のみ。

2日目の昼食は山でカップラーメン、3日目の昼食はバスが遅れに遅れて空港でサンドイッチを買っただけだった。夜はスーパーで地物の刺身を買い、部屋飲みにした。スーパーの刺身はそれはそれで結構美味かった。

初めて行った大分。魚は美味かったし山は九重山にも行ってみたかった。2022年もう一度行ければと今は考えている。

杵築城と城下町~大分、温泉と登山の旅④

新年を迎えたのにまだクリスマス頃の話が終わらない。ただ、せっかくなので大分旅行の最後に行った杵築のことを書きたい。

 

旅の目標だった由布岳を下り、竹瓦温泉に浸かり、「まあ今回はこんなもんか」と私は思っていた。しかし、相方は最終日に国東半島に行きたいのだという。国東には神仏習合の寺社があり、奇岩の山を含めて不思議な景観を形成しているらしい。大分空港は国東市に位置しているので、早朝のバスに乗って空港に行き、路線バスを乗り継げばなんとか行けそうだった。

ところが国東寄り道計画はあっという間に頓挫することになる。別府から6時前に乗った高速バス。ところが高速は雪のために封鎖されたので一般道を通るらしい。時刻表どおりなら1時間ほどのところを2時間以上かかり、始発バスは既に行ってしまっていた。

仕方ないので空港で路線バスの時刻表を眺める。別府と大分空港の中間にある杵築に城があるという。よくわからないが、大分の歴史にちょっとは触れておこうと再び別府行きの路線バスに乗った。

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杵築城

杵築城は1394年築城。川と海にせり出した丘の上に立っている。安土桃山時代には島津の大軍が押し寄せたものの、陥落しないなど城塞としてかなり有能だったようだ。

ただ、今の天守は模造品で戦後建てられたらしい。入ってみたかったが、その日は大雪で職員が到着できず、城を開けられないのだとか。1500年代も2021年もなかなか落ちない城なのである。

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杵築の城下町

杵築城を諦め街を歩いてみた。

杵築の城下町は丘の上に武家屋敷、下に商家という珍しい構造になっている。しかも武家屋敷群は2ヵ所に分かれた丘にあり、間の窪地を通る道沿い商家が並んでいる。

武家屋敷は特に珍しいものはないものの、かなりの数が残されていて、カフェなどになっているものもある。今回は時間がないのでバスの時間までひたすら歩いたが、ここに一泊するのもいいかもしれない。

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商家の通りと味噌店

坂を下った商家に味噌の店があった。

入ると木の火鉢に鉄瓶が据えてあり、いい雰囲気だ。火鉢の墨には火が入っていて、見せかけではなく実用として使われている。

ここで相方は糀を買っていた。

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しっかりと使われている火鉢

ふらっと寄ってみたが、杵築はなかなかよかった。

今回、初めて大分に上陸したが、もう少し暖かい時期にもう一度行ってみたくなった。