クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

ステラリッジ・テントのボトムを修理してみた

かつて山の友人が下山する時に言っていた。

「テントを干すまでが登山です」

その殊勝な言葉を聞いた私はこれまでの怠惰な姿勢を改め、登山が終わり、帰宅したらすぐにバックパックからテントと寝袋を引き出し、ベランダに干すようになった。

ただ、ズボラな性格が突然治るわけではなく、山道具に対する扱いは未だに荒い。そのツケが先日の青年小屋キャンプで回ってきてしまった。

 

これまで面倒くさいのでテントを張る時にグラウンドシートなどは使ったことがなかった。最初に使っていたIBS石井オリジナルのテントはとにかく頑丈で、テントを張った後に位置を変えるためにズリズリ引きずったりということもしたし、テントとはそれくらい丈夫なものだという認識だったのだ。

しかし、青年小屋では混雑していたこともあり、石の多いところに張る羽目になり、朝撤収という段になって気づいた。

「穴空いてる!」

IBSオリジナルと違って、今使っているモンベル・ステラリッジテントはとにかく軽量化命。ボトムもよく見ると相当薄い。昨年から北海道を10泊以上し、八ヶ岳の石ころの上でも使い続けた負担は相当だったようだ。

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そんなわけでグラウンドシートを使わなかった代償として修理をすることとなった。テントの購入先であるモンベル直営店にて修理パッチを購入。

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まずは穴を見つける。

これが実に難しい。テント場でテント本体を持ち上げて日に透かすと明らかなのが、部屋では全く見つからない。仕方ないので部屋の中でテントを設営し、光に透かして傷を見つけることに。

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あったあった。傷は四箇所ばかり。

15cm×15cmのシートから適当に鋏で切り取り、ペタんと貼る。以上。

簡単なんだけど、傷を透かして発見してから「さあ貼りましょう」となってからまた見失いということを繰り返し、30分ほどで作業完了。ちなみにリペアキッドは透明な絆創膏みたいなものなので、後から見ると貼り終わっているのかわかりにくい。

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これでどのくらい持つかわからないけど、とにかく雨の日に浸水しないでほしい。

それとこれからはグラウンドシートを敷くつもり。ただ、モンベルの純正品は5000円もするので100円均一で買ったレジャーシートを代わりに敷くことにするつもりだ。

小淵沢に行った帰りは「元気甲斐」

八ヶ岳権現岳からの帰りは再び小淵沢駅に下りてきた。

小淵沢駅は小梅線の始発駅にあたり、かつては賑わったそうだが、今その面影はない。ただ、最近リニューアルされたらしく、改札は2階になり1階には小綺麗になった土産物屋があった。

さて、小淵沢駅と言えばこれである。

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「元気甲斐」

知らない人も多いだろう。私は作家・原田宗典のエッセイに出ていたので知った。原田宗典がコピーライター・岩永嘉弘のアシスタントをしていた時代に駅弁の名前を付ける仕事が持ち込まれた。山梨の弁当ということでコピーライターの卵であるアシスタントたちがあれこれ案を出したものの、ロクなものが出ない。そこでボス・岩永嘉弘が出したのがこの「元気甲斐」で、原田宗典もさすがと思ったのだとか。

この「元気甲斐」はテレビ番組「探検レストラン」の企画で誕生したもので、愛川欽也伊丹十三安西水丸山本益博太田和彦錚々たるメンバーがかかわっている。発売時には遠く中国地方や東北からわざわざ駅弁を買うためだけに来るなど、大騒動になった弁当である。

 

その話題だった弁当だが、お値段1780円とちょっとお高め。2段のお重となっていて、一の重は京都・菊乃井が作ったということで京風、二の重は東京・吉左右がということで江戸前の内容。

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内容は写真のとおり。それぞれ炊き込みご飯とおこわが入っているので結構なボリューム。口に入れて「美味い!」というより上品で味わい深い感じである。山女の甲州煮はなかなかお勧めだ。

今はコロナのせいで、なかなか車内で堂々と駅弁を広げて食べにくい。私たちは、あずさの隣同士の席を取れなかったので、黙ってそそくさと食べ、そそくさとしまい、そそくさと水を飲んだ。

美味かったのだが、いわゆる黙食というやつで今一つ盛り上がらなかった。早いところわいわいとご飯が食べられるようになってほしい。

青年小屋でテント泊まったり②

青年小屋で昼寝をしたわれわれは5時くらいに起きだし、再び夕食の支度を始めた。まったりである。

準備をしながら隣のオジサンとおしゃべりをする。オジサンは京都から来たらしい。仕事は営業。梱包材を作っているメーカーにいるという。異業種、他エリアの人を話せるのが山のいいところだ。

オジサンが面白い話をした。

「動物園の動物は早死にしてしまうらしいです。なぜかと調べたらストレスで。自然では食事にありつけない日もあるのに、動物園では決まった時間に食事を与えてしまう。それが動物にはストレスになって早死にしてしまう」

なるほどいくら安全を確保し、食事をきっちり与えても、それらは動物にとっては「不自然な」ことになるらしい。

しかし、それは人間にも言えることではないだろうか。命が大切とばかりに危険なことを避け、引きこもっていては肉体的には安全でも精神的に危うい状態になってしまう。適度に危険と肉体的なストレスに触れてなければ、かえって命を縮めるかもしれない。

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編笠山から見る青年小屋

翌朝は頂上が霧がかかっていた。とにかく出発して上を目指す。

これまで2回登っているはずだが、まるで記憶がない。岩がこんなに脆いと思わなかった。ヘルメットを持って着た方がよかったなと思う。

小屋から1時間半ほどで頂上に。徐々に霧が晴れてきた。

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霧の晴れ行く赤岳

何にしても天気のいい山では気持ちが晴れる。きっと山に行く人は山で身を危険に曝しながら、命を伸ばしているに違いない。

私たちはテントで湯を入れていたアルファ米を食べ、しばらくのんびりしたら下山を始めた。

青年小屋でテント泊まったり①

台風一過の休日に八ヶ岳権現岳に行ってきた。当初からの予定変更だったが、今はどのテント場も予約制を取っており、飛び込みではなかなか行けるところがない。八ヶ岳ではバスが通っていない観音平から3時間ほどの青年小屋は予約なしで行けるテント場だった。

小淵沢駅から観音平までは徒歩で3時間ほどの道のりとなる。かつて歩いて登ったことがあるので、今回もてくてく歩いていたら親切なご夫婦に「乗っていくか?」と訊かれて乗せていただいた。スコティッシュ・ディアハウンドという猟犬を飼っており、その犬が私のバックパックに鼻水を垂らす以外は非常に楽に観音平に着くことができた。

 

観音平から編笠山を経由して青年小屋に下りた。編笠山は久しぶりに満員御礼の山で、子どもも多い。途中から雲がかかったが、富士山、南アルプス鳳凰三山甲斐駒ヶ岳北アルプス、そして八ヶ岳連峰がよく見える。

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青年小屋には「遠い飲み屋」という提灯がかかっている。居酒屋に休業要請が出る昨今だが、家の外でまったりしたいという願望はみんなあるのだろう。みんなテントを張るやビールを買って談笑している。

色とりどりのテントはかなりの数になった。ただ、みんな適当に距離を取り、思い思いに食事をし、ソーセージを焼き、ビールを飲んでいる。

われわれも着いてラーメンを食べ、本を読んでいるとうとうと昼寝タイムとなってしまった。

登山者がオートキャンプをしてみたら

昨日、タープを買おうかと思案していたら友人宅では沢登り用にもう買っているという。沢登りということでポールはなし。おそらく軽量タープだろう。

登山をやっていた者がオートキャンプにハマるということはよくあるようだ。一定レベル以上の登山者はある種の凝り性なので、ハマると大変で、車にこだわり、道具にこだわり、パッキングにこだわりと際限のないこだわりが始まってしまう。

登山には自力で担ぐという面で自ずと限界があるが、自分で担がない分凝り始めると金銭的にも大変なことになるようだ。

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南岳の傾いているテント場

一緒にキャンプへ行こうと話している友人も我が家も今のところキャンパーではなく登山者である。友人夫婦の方はわれわれより断然レベルが高くて、沢登り、クライミング、雪山もやるオールラウンダーなので、テントなしの焚き火ごろ寝なんていうワイルドなこともやっている。それでいくと我が家はせいぜいテント泊で旅行するくらいのかわいいものだ。

そんな2夫婦がオートキャンプに出かけたらどんなことになるか。

落ちている木を削ってタープのポールにしたり、肉や魚を枝に刺して焚き火で焼いたりするだろうか。焚き火は有料の薪など買わずにその辺の落ち木を拾ってきて、地べたで直接燃やす。そんなことをしれたら管理人がすっ飛んで来るかもしれない。

そんなアホなことを考えつつ今度のキャンプを楽しみにしている。

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沢登りでやったワイルドな焚き火

 

タープでいっぷくしたい

そろそろ北海道旅の思い出話から次の遊びに移りたいと思っている。「お前の頭は遊ぶことばかりか!」と問われればその通りで、遊ぶことしか考えてない。「いつかのために今頑張る」という貯蓄精神はあまりなくなり、いつかいつかと待っていると人生が終わってしまうという焦燥感に駆られている。

それはともかく、今は来年2月のマラソン大会の練習とのんびりキャンプがしたい。北海道でも6泊をテント泊で過ごしたものの、石の上に腰掛けて飯は鍋から直食い。知床はテントが凍るくらい寒かったし、過酷には違いなかった。

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知床・硫黄山第一火口の幕営指定地

オートキャンプでもしたいなあと考えているところに友人宅がアウトドア用の四駆を入手したということを聞いた。こうなれば少々の重量を考慮せずにキャンプができる。今我が家で(というか私の中で)オートキャンプ妄想が膨らんでいる。

 

まず必要なのは椅子。やっぱり石に腰掛けとかはということで軽量なヘリノックスのチェアワンがほしい。大雪山でもわざわざ山中に背負ってきている人がいて、いいなあと思ったのだ。

webshop.montbell.jp

次はタープである。下で焚火をするかどうかが問題。

焚火をしないならアライとかモンベルの軽量タープ。今のところ車がないので焚火のできるコットン入りのタープは少々重い。

webshop.montbell.jp

でも買うなら昔からポリタンクで有名なエバニューのタープ。コスパがいいらしい。

evernew-product.net

あと焚火台がほしい。元祖焚火台と言えるスノーピークの焚火台M。SOTOが手のひらサイズの焚き火台を出していてこれも面白いと思ったけど、調理器具としては現実的ではなさそう。

www.shinfuji.co.jp

これで車とか買ったら重量無制限になって爆買いの歯止めが効かなさそう。

恐るべしキャンプ沼になりそうなので、今はマイカーだけは購入を踏みとどまっている。

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3年前のオートキャンプ



 

旅のバックパックの中身~北海道旅に使った装備たち

バックパッカーという呼び名がある。日本では安宿に泊まりながら旅行をする人というイメージがあるが、アメリカではロングトレイルを歩く人を指す。

私はどちらかと言えばアルピニストよりバックパッカーに憧れて登山を始めた。バックパック1つで世界を、この世を渡り歩く。家も服も背中に背負ったものがすべて。そんな世界観に憧れていたし、今もそれは変わらない。

それではバックパックに何を詰めて出かけるか。これはなかなか問題だ。今回はこの夏の11日にわたる北海道旅でのバックパックの中身について書きたい。

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羅臼に下山後のバックパック

まず幕営および炊事装備はこんな感じ

・寝袋 モンベル スパイラルダウンハガー#800

・マット サーマレスト リッジラインスモール

・テントマット Mt.スポーツ石井 テントマットM

・テント モンベル ステラリッジ3型(スリーブ式の旧型)

・鍋 ダグ 焚火缶(中・小)

・ストーブ イワタニプリムス IP-115

・網 ユニフレーム ミニロース

・ボトル ナルジン500ml(大雪山から下山したところで購入)

・ポリタンク モンベル フレックスウォーターパック2L

・箸 ベルモント

特筆するほどのものはないけれど、普段の登山ならミニロースは持たない。焚火缶も少々大きいけど、焼き物から鍋料理、炊飯まで何にでも使えるので便利。

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一夜干しを焼くのに活躍したユニフレームのミニロース

お次に服装。

パタゴニア キャップリーン ジップネック ミッド(山シャツ)

パタゴニア キャップリーン ライト(山シャツ)

パタゴニア キャップリーン Tシャツ

パタゴニア 薄手ロングパンツ(製品名不明)

モンベル マウンテンガイドパンツ

パタゴニア トレイルショーツ(トレラン用の短パン)

パタゴニア フーディニジャケット

パタゴニア R1プルオーバー

パタゴニア トレントシェル上下

・アンダーパンツ3枚

・靴下 山用2足と踝ソックス1足

こう見るとずいぶんとパタゴニア献金してしまっている。着替えは3セット。濡れたときや洗濯できない日を考えると3枚くらいほしい。相方はロングパンツを2枚にしていたが、ちょっと不便そうだった。

 

足回りは

・スポルティバ トランゴタワー

・スポルティバ BUSHIDO2(トレランシューズ)

yachanman.hatenablog.com

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登山靴以外にもう1足歩きやすいがあると便利。空港でも足首を覆う靴は脱いで保安検査を受ける必要があるし、街中をちょっと散歩という時もローカットが歩きやすい。そういうわけで私は少々重いがトレランシューズを持参している。クロックスやサンダルという手もあるけど、トレランシューズならキャンプ場などでも歩きやすい。

あとは細々した日用品で愛用は日本てぬぐい。私のは『岳人』の定期購読のおまけ品なのだが、すぐ乾くのでお勧め。

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大雪山を縦走中

そんなこんなの装備を60Lのバックパックに詰めて出かけた。背中に背負えるだけのもので旅するのは楽しい。背負えない人生を背負って生きてゆけないのだから。