クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

死ぬまでに行くべき日本の絶景三選①

コロナ禍と言われて週末を家で過ごす人が増えたそうだ。週末は嵐とかでもなければほぼ出かける私には信じられない話で、家に籠って何をするのか想像もつかない。

コロナが怖くても行きたいところがあれば行っておいた方がいいというのが持論である。感染を広げて他人に迷惑をかけるということも懸念としてあるだろう。しかし、感染して死ぬことをただ恐れるのは意味のないことのように思える。引きこもっているうちも人間は徐々に死んでいっているのだ。

それはともかく今回はこれまで行った中で死ぬまでに行っておくべきと感じた絶景を紹介したい。体力的に難しいところばかりでは行ける人が限定されるので、行きやすいところをチョイスしてみた。

 

屋久島の森

関東に住んでいて山登りを始めた人は、まずは高尾山。次に富士山に行く。そして次は屋久島に行ってみたくなるそうだ。この3つに共通点は少なくて私にはよくわからんところだが、屋久島には行っておいた方がいいという意見には肯ずるところである。

鹿児島の南で温暖なイメージの島であるが、「洋上のアルプス」と呼ばれるほど気象条件は厳しい。雨が多く、冬は山に雪が積もり、絶海の島なので風が吹き曝しとなる。その気象が生み出したのが屋久杉に代表される森林と麓に咲く南国の花となる。

私は昨年と4年前に行ったが、どちらも雨ばかりだった。4年前は宮之浦岳で雹が降るという経験もし、昨年は雨に打たれ過ぎて凍傷になるかと思ったくらいだ。ただ、その天候こそが1000年を超える杉の木を育てるのである。

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屋久島・縄文杉

著名な縄文杉は意外と麓から遠い。屋久島最大の街、宮之浦は海辺なので標高0メートル。最高峰宮之浦岳は1936m超で縄文杉は1300m付近にある。頂上からの方が近いくらいだし、登山口から日帰りする場合は早朝発で夕方下山になってしまう。道は木道が整備されているので体力次第。

体力に自信がなければヤクスギランドや白谷雲水峡の周辺だけでも結構楽しめるところが屋久島のいいところである。

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白谷雲水峡付近の滝

ちなみに行くなら人の少ない冬がお勧め。

屋久島の森林は苔むしていて、独特の匂いがある気がする。広大な絶景というものではないが、行っておくべき日本の一部と言える。

ニトリ・スキレットの実力は?

晴れた日曜日、秋キャンプの準備にアウトドアショップに向かった。今回のキャンプは友人夫婦に車を出してもらう。いつもの質素倹約キャンプを脱してラグジュアリーを決め込むには2、3必要なものがあったのだ。

大目的はマット。今年、EXPEDのエアマットが突如としてメリメリと音を立てて変形してしまった。しかも場所は2月の屋久島山中だったので、危うく寒さに凍えるところだった。そんなわけでMt.スポーツ石井でマットを物色したものの、昨今エアマットの高騰は甚だしく、サーマレストのネオエア3万円というのを見て嫌気が差し、何も買わずに出てしまった。

代ってニトリでふらりと買ったのが小型スキレットである。

 

スキレットと言えばロッジが有名で、道具にこだわる友人が使っていた。それはそれは重い代物で、保温性抜群。それで焼いたステーキは絶品だった。ただ、徒歩、もしくは自転車というわれわれ人力キャンパーには文字通り荷が重い。そういうわけで、たまたま入ったニトリスキレットが安くなっていたので思わず飛びついてしまった。

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ニトリスキレットは8インチと5インチの2種類。2人以上で使用するので8インチ(19cm)を選び、同サイズの蓋も買った合わせて1300円ほど。ハンバーグならギリギリ3つ、お好み焼きなら大きめ1枚、餃子なら2人前、10個くらいか。

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分厚い生地にしたので、中まで火が通るか少々不安だったものの、蓋をしたら大丈夫だった。

把っ手が短いので、タオルか手ぬぐいが必須。火を止めてもしばらく油が跳ねているので、保温性はまあまあか。屋外でもそこそこ熱々で食べられるだろう。

とにかく焼き目はフライパンより美味しそうなのがいい。

 

 総合すると

コンパクト性 ◎

コスパ

保温性・熱伝導〇

焦げ付き△

他を知らないから比較のしようがない。ただ、ロッジに比べると厚みがない分、保温性は足りないかもしれない。あと焦げ付きは少々気になる。油が馴染めば改善するだろうか。今後に期待。

しばらく家で、キャンプで使い倒したい。

初秋の石尾根縦走〜鴨沢、雲取山、鷹ノ巣山、奥多摩駅

台風一過の週末にどこか走りたくなって、前から気になっていた石尾根縦走に出かけた。

気になる理由は大したことではなくて、角幡唯介さんが千日回峰行の真似事をする前に奥多摩駅から雲取山の日帰り登山をしたということから。これでは何のことやらわからない。角幡さんは、NHKの「達人×達人」という番組で大阿闍梨・塩沼亮潤さんとの対談が組まれ、塩沼さんが成し遂げた千日回峰行のコースを1回だけ歩くこととなった。その際に探検家としての意地を見せるべく体力強化に使ったのがこのコースだったというわけございます。

なんとも長い前置き。

 

さて、今回奥多摩駅からの往復は探検家ではない私には辛過ぎるので、奥多摩駅から雲取山登山口にあたる鴨沢までをバス。そこから雲取山を目指し、そこから石尾根縦走ということにした。

鴨沢に6:40。トイレで用を足して6:44頃スタート。雲取山までは標高差以上に距離がある。なだらかな巻き道が多いのが特徴だ。

行きは七ツ石山を経由せずに巻き道を使って頂上を目指し、9:13に雲取山山頂へ。ちょうど2時間半くらい。

青空と富士山が見える。

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雲取山手前の稜線から見える富士山

雲取山を下って、今度は七ツ石山に登り返し石尾根から鷹ノ巣山を目指す。踏み跡明瞭で、なだらか。ただ、高丸山だけはなぜか急傾斜で、道なのかただの斜面なのかわかりにくかった。

基本は樹林帯の緩やかな道が続いている。人は緊急事態宣言明けということでところどころにいた。おそらく奥多摩湖から各々目的の山に登っているのだろう。

鷹ノ巣山の山頂では2人の登山者がカップラーメンを啜っていた。

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道はこんな感じで走りやすい(歩きやすい)ところが多い

鷹ノ巣山からは奥多摩駅に向かって下る。途中、何ヶ所かの登り返しがあるものの、基本は緩やかに下っていく。なるほど長いけどトレーニングにはちょうどいい。

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紅葉はごく一部

紅葉はまだなので、10月後半くらいに来るのもいいかもしれない。ただ、こんなに慌ただしいと草木を愛でる暇もない。

最後の六ツ石山からの下りは粘土質でぬかるんだところが多くて注意が必要。危なくはないが、転ぶと泥だらけになる。きゃーきゃー言っている女性たちがいて、私も転びかけて叫びそうになったが、こうなると逆に叫べなかった。

結局、13:40頃に奥多摩駅に到着。歩行時間7時間ほどでいいトレーニングになった。

カーボンオフとダイエットの共通点

会社の後輩がついにメタボ検診にかかったという。先日の健康診断で腹囲が85cmと測定され

「0.5cm負けてもらえませんか?」

とお願いされたものの、却下されたらしい。彼は身長183cmという偉丈夫でそれほど太って見えないのだが、コロナ自粛の間に腹周りに肉がついたという。

「美味しいものは太りやすいですねぇ」

と言って嘆いていた。

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脂は美味しい、美味しいは太る



話は変わるが、今はカーボンオフや循環型社会の構築という言葉が企業において流行りとなっている。

カーボンオフを厳密に言えば息を止めないと実現しないわけで、企業なら全ての事業を止めて植林でもしなくてはならない。もちろんそんなことはできないので、カーボンオフで発電されたとされる割高な電気を買ったり、排出権という目に見えない権利を買ったりと、早い話がお金で解決するわけである。

いくら太陽光や地熱・水力で発電しようとも発電所を作るのにCO2を排出しないわけではない。CO2を吸収するのは植物だけ。人間が何かをすればどんなことでもCO2は排出される。カーボンオフセットを買っていても現実には別のところでCO2がどかどか排出され続けている。

まあ、こんなことに一々目くじらを立てていたらキリがない。偽善的とはいえ、その金が環境保護に使われればいいと考えるしかない。

しかし、やや釈然としないところが残る気がするのは私だけだろうか。

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CO2を吸収するのは葉緑体だけなのだ

釈然としないところ。それは大半の企業、それに所属する人が本当の意味で自然破壊を憂いているわけではないことだ。

「今、取り組まないと10年で地球に住むことはできなくなります」

と本気で考えている人はいない。いるかもしれないけどあくまで少数派。だからこそカーボンオフセットという偽善にすがって満足できる。

一方でこれはダイエットに似ている。

「このままでは10年で死にます」

と言われれば文字通り死ぬ気で取り組む。それが「年を取るといろいろ大変になるよ」くらいでは「まあ気を付けよう」くらいになる。

さらに誰だったか「エコはセレブのファッション」と書いていた。カーボンオフもダイエットも見た目を気にしてやっている点は似ている。

現状は「やるとモテますよ」と言われているに近い。

 

ではどんなことをすれば本気で自然について考えるのか。

自然の中で遊ぶしかないと思う。遊び場が壊されれば本気になって考えるようになる。机上で地球が滅ぶとか言っていても大半の人間は「自分が生きているうちは大丈夫」と片付けてしまうのがオチなのだ。

真剣に遊べば自然を考えることにつながるということで私は日々遊ぶことばかりを考えている。

キャンプの火は焚火?ガス?石油?

キャンプをしたいといろいろ調べていたら直火不可のキャンプ場が非常に多いようだ。ファイヤースペースがないキャンプ場で焚火をしたければ焚火台を持って来いということらしい。

この焚火台というやつはマイカーなし、マイホームなしの人間にはハードルが高い。我が家は極力モノを増やさないよう努力しているが、それでも住んでいると徐々にモノは増えていく。おまけに焚火台はあくまでオートキャンプ限定の品。

10年ほど前『山と渓谷』の10コマ漫画「でこぼこテッペン」で焚火台を友人宅から背負って帰ったということが自虐ネタとして載っていたように、基本的にこれは車に載せるものであって背中に載せるものではない。したがって、買うのはマイカーが先で焚火台は後。逆はない。

しかし、直火のキャンプはいい。火のはぜる音と川の流れさえあえばBGMは何もいらない。なんちゅうか北京原人に戻ったような気すらする。火の不思議を感じるにはやはり焚火に限る。

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スノーピーク・焚火台の火

登山では焚火は沢登りなどを除くと難しくなるので、火器が必要となる。現在所有している火器は3つ。

・MSR ウィスパーライト・インターナショナル

イワタニプリムス IP-2243

イワタニプリムス IP-115

ウィスパーライト・インターナショナルは世界を旅する名品である。タンクと本体が別でホワイトガソリン・レギュラーガソリン・灯油・ジェット燃料も使えるという。基本的に世界のどこに行っても車は走っているので、レギュラーガソリンが使えるのは大きい。世界を放浪していたわけではないけど、こういう品は何となく心躍るのでわざわざアメリカで買ってしまった。

しかしながら、①本体とタンクを合体する、②ポンピングする、③小さな皿にガソリンを溜めて燃やす、④本体が温まったらバルブをひねって火を安定させるという手順は明らかに面倒だし結構音が大きい。

それとプレヒートを始めると炎が上がるので「すわ!一大事!」とかなり注目を浴びてしまうのだ。最近使っていないし、メンテナンスをしなくてはならない。

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左からウィスパーライト・インターナショナル、IP-2243、IP-115

IP-2243はブタンガスを使った名品。静かで炎は安定しているので安心して見ていられる。IP-115は鍋を載せた安定感は少々悪いけど、とにかく軽い。

ガスはどれも簡単に火がついて、静かという点では共通している分、個性がないと言える。ガソリンは面倒くさいとか言いながら矛盾しているが、使うのに心躍るというわけではないのが残念だ。

 

カーボンオフやらやけにCO2が敵視されて、どうも息苦しい世の中になった。しかし、人類が火を使い始めて数十万年。火にはやはり人の心を安定させる力があるのだろう。

キャンプの時くらい火を見つめていたい。

ヘリノックス・チェアワンを買う

ラグジュアリーキャンプをしたいなあと思って早1ヶ月。先週も地べた、石の上に座って隣のオジサンとくっちゃべっていたわけだが、キャンプ主体の旅をしようと椅子を買った。

憧れのヘリノックス・チェアワンである。

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ヘリノックスは韓国DAC社のブランドなのだそうな。DAC社は頑丈なポールを作っている会社で、その技術がヘリノックスの軽量チェアに活かされている。

折りたたみ椅子というと日本では床几に代表される腰掛け椅子。背もたれが付いていないのは正座文化の影響だろうか。とにかく屋外で快適に座るという文化はごく最近のことのように思える。実家にあった折りたたみ椅子はよくビーチテラスに年中置いてあるようなアルミフレームにナイロンベルトを付けたもので、座り心地は決して悪くないのだが、あくまで簡易的という雰囲気をぬぐえなかった。

その後は発泡酒のおまけでもらった3本脚の椅子を自転車旅では使用。これは軽量でどこでも持って行けるというメリットがあったものの、背もたれもない床几タイプで、地べたよりマシなレベル。長時間はちょっと辛かった。

 

野田知佑さんが文明に必要なのは椅子と机である(逆に言えばこれらのない宿は論外)。この2つがあればどこでも書斎になると書いていた。アウトドアにおいて椅子もテーブルも不要な装備である。しかし、時には不要だからこそ贅沢品としてフィールドに持ち込みたいものだ。このチェアワンによって我々はようやく原始人から文明人になるのである。

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ここに椅子があったらと考えた知床・第一火口キャンプ指定地

話が飛躍しすぎた。

今はノマドワーカーがよくアウトドア雑誌でも取り挙げられている。ノマドとは放浪者を指し、世界中どこででも働けるスタイルの労働者を言う。アウトドア好きとしては屋外で仕事ができるのは都内のオフィスで仕事をするのよりはるかに気持ちがいいだろう。

椅子を買っただけで気が早いのもいいところだが、世界中を書斎にして生きて行けるという想像はどこか心躍るものである。

パタゴニア・バギーショーツでどこに行こう?

久しぶりに衝動買いしてしまった。パタゴニア・バギーショーツ

最初はモンベルのキャニオンショーツをもう1本買おうかと思案していたら、パタゴニアのアウトレットに出ていたので鞍替え。ついでに相方にもガラ違いで買ってみた。

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比べてみるとキャニオンショーツはナイロンベルトにプラスチックのバックル。バギーショーツは紐締め。丈はキャニオンショーツの方が長かったけど、私の買ったバギーショーツは5インチだったからだと思う。7インチのモデルもあり、それなら同じくらいだろう。下の写真、履いているのはキャニオンショーツで黒の方がバギーショーツ

ちなみに相方のと同時に買ったのだが、女性用の方が丈が短いので生足をあまり曝したくない女性は7インチを選んだ方がいいかも。

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パタゴニアの説明によると水陸両用とある。これを履いて泳ぐ気はないけど旅先でパンツ切れとなったらそのまま履ける。

大学時代に、北海道で海パンを履いて自転車に跨がって旅をしていた。まあこの時はパンツを洗濯したり乾かしたりというのが面倒なだけなのだが。自転車で海パンというのは尻が擦れて痛くなるのでおススメはしない。中がメッシュ地だったりするのでずっと座ったままだと尻にメッシュの跡が付いてしまう。

ただ、街中ならバレないし軽量化になるし涼しいのでそれなりに快適だったりする。

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サイズ感は私、身長172cm、54.5kgの痩せ型でXS。キャニオンショーツの場合はSサイズ。裾はキャニオンショーツよりバギーショーツの方が広くて動かしやすい。その分、中が見えないよう注意が必要となる。

まあそんなこんなのバギーショーツ。これを履いてどこに行こう。