クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

登山

雄阿寒岳に登る~2023北海道山旅⑤

前回、百名山「阿寒岳」は低い方の雄阿寒岳だったと書いた。しかし、これは自宅に帰ってからわかった話で、現地では雌阿寒岳に登ったし翌日天気が荒れるなら釧路に下りちゃおうかと思っていた。 ところが翌朝目覚めると快晴。天気予報は曇り時々雨で、もう訳…

阿寒湖と雌阿寒岳と雄阿寒岳〜2023北海道山旅④

これまで2020年、2021年と北海道で山旅をしている。 2020年は利尻富士、礼文に羊蹄山。2021年は大雪山・旭岳、知床連山を縦走。今回、トムラウシを諦めてどこに行こうかと迷った末、選んだのは阿寒湖だった。 阿寒湖には百名山・雌阿寒岳とともに雄阿寒岳、…

大雪山は”花”がいい〜2023北海道山旅③

北海道2日目。裏旭岳4時前に起床。 本当は3時に起床のつもりが寝坊してしまった。まあ、最近は目覚ましもかけず、起きる時間を想定して寝るという「逆説的目覚まし」なのだが。 バタバタ準備して4時半に出発した。 トムラウシ縦走を諦めたので、層雲峡ま…

灼熱、大雪山登山〜2023北海道山旅②

暑い東京を抜け出して北海道へ。 東京都民にかかわらず、誰しも暑い夏に北海道へ行くというのは憧れなのだ。最近は酷暑が続くので余計に憧れは渇望へと変わっている。 早朝、羽田空港から旭川空港へ。一便に乗るとほとんど待ち時間なしで旭岳ロープウェイへ…

山登りの貯金

7月は北アルプス・笠ヶ岳と南アルプス・甲斐駒ヶ岳に行った。 どちらも共通して急坂急登で、なかなか身体に堪える登山になった。毎週のように行っていた時期は急坂だろうが、岩場だろうが、あまり意識しなくても身体が動いた。自動運転と言おうか。体力も十…

暑い暑い下界へ帰る~甲斐駒ヶ岳山行④

甲斐駒ヶ岳山行の第一目標、日の出を見るというイベントが終了してしまった。 不思議なもので太陽が上がってしまうと景色は一気に普通になっていく。普通の夏山、普通の南アルプス、普通の岩山なのだ。それはそれで美しいのだけど、朝の神々しい感じは一気に…

清涼の日の出と灼熱の太陽~甲斐駒ヶ岳山行③

山での一日は朝がいい。 冬は寒くて寝袋から出るのがやや憂鬱なのだが、それでも風の音しかしない世界は下界でなかなか味わえない。夏はそもそも涼しいので起きるのが苦にならない。 甲斐駒ヶ岳山行2日目は午前2時半に起床。草木も眠る丑三つ時である。 コ…

黒戸尾根のつらい登り~甲斐駒ヶ岳山行②

私はこれまで甲斐駒ヶ岳に6回登っている。うち5回は黒戸尾根から登っている。うち、4回は冬で1回は秋に登っている。 当然、冬に比べると夏山は格段に登りやすいはずだ。冬は岩場で足元が格段に悪くなる。 ところが、今回はこの登りで私は思いっきりバテ…

灼熱の甲斐駒ヶ岳山行①

週末、晴れるというので甲斐駒ヶ岳に行ってきた。 晴れるとなれば、どこかに行かなきゃとなるのが山屋の性。「危険な暑さ」と呼ばれる昨今の酷暑からも逃げられる。 今回はパッと思いついて公共交通機関でサッと行ける甲斐駒ヶ岳にした。 甲斐駒ヶ岳が公共交…

街に下りたら何食べよう?

週末、先崎学『棋士の腹のうち』を読んで、久しぶりに腹を抱えて笑ってしまった。 将棋の棋士である先崎学九段が食べ物にまつわるエッセイを綴っている。今でこそタイトル戦での食事がネットニュースになるくらいだが、将棋の棋士の行動範囲は極めて狭いので…

わからない明日とわからない登山

角幡唯介『狩りの思考法』を読むと面白いことが書いてあった。 グリーンランドに住むエスキモーたちはしばしば、「わからない」ということを意味する「ナルホイヤ」という言葉を多用するらしい。「明日の天気は?」と訊けば「ナルホイヤ」だし、「今、橇を作…

遭難を防ぐには何が必要か

かつて会社の研修で、ビジネススクールの講師から 「登山に必要なものは?」 と訊かれたことがある。私が登山をすると知ってのことで、リップサービスのつもりだ。そして訊かれた私はこう答えた。 「体力です」 身も蓋もない回答でその話はそれ以上膨らまな…

個人的なプチ遭難体験

昨日、山でのプチ遭難について書いた。 今年は梅雨明けするかしないかという時期からカッと暑くなったせいか、疲労による遭難が多い気がする。天気が良いから登山を決行するものの、暑さで疲労が溜まっての事故という種類のもので、これが天候不順なら行かな…

山でもしも倒れたら

夏山シーズン開幕ということで、遭難事故が相次いでいるようだ。 われわれが笠ヶ岳に登っていた時、向かいに見えていた穂高では2人も亡くなっていたらしい。報道を見ていると、前穂高岳の紀美子平あたりだったりして、なんであんなところで思ったりするが、…

北アルプスの笠の上での日の出〜笠ヶ岳山行④

キャンプは朝に限る。 そう書いてみたが、今回夜にふと目が覚めてテントの外を見ると恐ろしいほどの星空だった。写真に撮れたらいいのだけど、技術がない上にヘッドライトが周囲をちらつくので諦めて記憶にだけ刻むことにした。 さて、翌朝は3時起床。隣の…

テント泊の至福〜笠ヶ岳山行③

さて、暑い暑い笠新道を抜けてようやく稜線へ。 縦走登山の時はこういう稜線歩きが楽しい。場合によっては雲が足元より下にあって、天空を歩いているような気がする。 ただし、この日は久しぶりの長時間の登りだったので、登り切った時には疲れ果てていた。…

つづら折りの笠新道を登る~笠ヶ岳山行②

笠ヶ岳に登るには3つのルートがある。 上級者コースはクリヤ谷から沢沿いに進むルート。古来の登山ルートは藪や木に遮られない沢が多い。播隆上人ルートもおそらく沢ルートで登ったのではないかと想像される。ただ、この7月時点では沢沿いは藪の伐採が進ん…

北アルプスの笠に登ろうと思うまで〜笠ヶ岳山行①

海の日を利用して笠ヶ岳へ行ってきた。 「どこじゃい?」と思う人もいるだろう。場所で言うと岐阜県、穂高連峰の西にある。文字通り笠のような形をした山で、北アルプスの一部に入るものの、とんがった形なので独立峰に近い形状になっている。 遠くから見て…

上半期の「遊び」ベスト3

2023年の上半期が終わった。 もう半年経ってしまったという感じ。松山千春みたいに「振り返るには、まだ若い」と歌いたいところだけど、もう若くもないので上半期ベスト3を振り返ってみたい。 3位 八ヶ岳、冬季登山 久しぶりに雪山登山をした。 昨年、九州…

猛暑日は涼しい山へ

なんだか急に暑くなってきた。七夕と言いつつ猛暑日になるらしい。 正直、暑いのは苦手だ。11月生まれのせいか、寒いくらいの方が好きで、夏は高所に行きたくなる。 昨年の夏は猛暑を避けて北アルプスの雲ノ平へ行った。新穂高温泉からの登りは暑くて汗を絞…

去年何をしていたかと言えば

去年何していたかなあと振り返ってみると、7月1日、2日で北八ヶ岳から南へ向かって天狗岳、硫黄岳と縦走し、美濃戸口に下りるという登山をしていた。 週末、突然暑くなるというので山に逃げようということで急遽計画したものだったが、山もやはり暑かった…

登山で会いたくない虫たち

先週末、久しぶりに山に行って気持ちよかったのだけど、代償としてブヨに嚙まれてしまった。 考えてみるとブヨに噛まれたのは初めてかもしれない。帰ってからむずがゆい感じが続くなあと思っていたら、左足首が腫れあがり、火曜日くらは歩くのにもやや不自由…

水根沢遡行と鷹ノ巣山登山③

結局、今回の教訓は梅雨の晴れ間に沢なんて行くもんじゃないなということである。 「大雨で地盤が緩んでいる可能性があります」と天気予報で行っているのに、地盤が最も緩んでいる沢に行けば崩落に遭いに行っているようなものだ。 ここのところ、なかなかい…

水根沢遡行と鷹ノ巣山登山②

さて、昨日のつづき。 水根沢名物のゴルジュを迎え、少し緊張した。どうやらここは側壁を高巻きできないので、突破するしかないようだ。 沢登りの怖いところは、不確定要素が多いのと、逃げ道がないことがあること。さらに下るのが難しいというケースがあり…

水根沢遡行と鷹ノ巣山登山①

週末は暑いので久しぶりの沢登りに行って来た。 場所は奥多摩の水根沢というところで、沢登りではゴルジュ入門編とされる。ゴルジュとは何かというと、「喉」を表すフランス語で沢用語では狭い滝の落ち口を指す。狭いので基本は正面突破するしかないというと…

トレーニング登山に最適の場所とは

もう3ヶ月くらい登山に行っていない。年に20回以上言っていた時はありうべきこと。こうなると山の筋力が落ちているようで怖い。 梅雨に入って山にも行きにくい最中だが、山のトレーニングに最適の場所はどこだろう。 ①奥多摩 御岳山 今の家になって近くなっ…

笹子雁ヶ腹摺山から見る富士は

笹子雁ヶ腹摺山へ行って来た。 秀麗富岳十二景と呼ばれる富士山が綺麗に見える山の1つに数えられる。この「秀麗富岳」シリーズは大月市が選定したもので、秀麗というあたりが上手い。登る山に困ったら選びたくなる雰囲気を出している。 笹子雁ヶ腹摺山へは…

「油」で持久力は上げられるか

Number Webで「油で持久力アップ」という記事があって少し気になっている。 内容は100kmを超えるトレイルランニングの大会にいくつも出ている女性ライターが、糖質を減らして油分を増やして体質を変えるというもの。ライターと言っても100kmマラソンはサブ10…

TJARの参加資格と自己ベスト

来週末にマラソン大会が迫ってきた。それなのに走れないのが悔しいというか焦るところだ。 ところで、最近知った事実。 トランス・ジャパン・アルプス・レース、通称TJARという山岳レースがある。富山湾からスタートして、剱岳を登り、北アルプス・中央アル…

久しぶりに雪の八ヶ岳・赤岳登山②

翌朝は隣のテントの音で3時半に目を覚ました。 テントの中はマイナス13℃。久しぶりの寒さがこたえる。アルファ米2袋を相方と交互に食べ、お湯を飲んで出発。文三郎尾根から赤岳を目指した。 トレースははっきりして、歩きやすい。前夜の風でトレースが消え…